Report
2009.12.12 @ 新木場ageHa
日本を代表するメディアアート集団 M.M.Mと我々が接触したのは、まだ残暑厳しい9月のことだった。
ライブテクニカルの「クリエイターの想像力を技術的制約から解放する」というコンセプトを話したときに今回の現場は決定していたのかもしれない。
「我々はハードを知りすぎている。」これが、今回の大きな課題だった。
当初は5面のマルチ投影というプランが立ち上がった。5面をマルチにするには、ハードはこれが必要だ。得てして、ハード屋はそんな判断を下しがちで、本来の目的を見失ってしまうこともあった。
場合によっては、クリエイターの要望を予算に応じて修正していく事も必要であった今回の現場は、非常に貴重な経験をすることができた。プランニングは3面スクリーンの連動を可能にしたセットアップになった。EDIROLのV-8を3台のプロジェクターの前にそれぞれ1台入れ、合計3台。この3台をMIDI連動によって、3面の映像がフレキシブルにコントロールするプランニングをクリエイターに提案し、受け入れられた。普段使い慣れているハードウェアを、使用する事でオペレーションの際の制限をかけたくなかったからだ。
ScreenPro2を入れるプランもあったが、M.M.MのメンバーにScreen Pro2の使い方をレクチャーするタイミングが取れないこと、我々がオペレーションを行う事はできないことから、その案は無くなった。プランニングによってクリエイターが表現したいことが制限されることになるのではないか?そういう議論を繰り返し、クリエイターとコミュニケーションをとりながら問題を解決し、決定していった。
プロジェクターはPanasonic TH D-10000を1台センターへ設置。両サイドに120インチのリア・モノブロスクリーンへPanasonic PT D-5700を2台投入した。センターの10000ルーメンは、空間を高くしたくないという主催者の要望を受けて、高さ1/3程度ブランキングし、映像のセンター部分1/3をトリミングした映像を直接黒い壁に投影した。
クリエイターはこの画角で出せるように映像素材を用意し当日に臨んだ。
会場は、アジア最大のクラブ、ageHa。世界有数の音響設備を有し、多くの来場者が訪れた。
開場し一気に観客が流れ込み、午前1時には超満員。センターの映像、左右の映像が入れ替わる様子に、観客の反応は上々で、クリエイターからも評価が高かった。中でも3面のスクリーンと同じレイアウトでプレビューできる3つのモニターを導入したことが大きかった。主催者からも非常に喜んでいただく事ができ、これから多くの現場を経験できそうである。
ライブテクニカルは、今後も クリエイターに近い立場から舞台の映像演出を行っていきたい。